工場と音楽の夕べ《工場萌えな日々》

開催日:2007/1/4(thu),1/5(fri)

場所:渋谷【spumahttp://www.spuma.jp/

時間:open/19:00 start/19:30 close/22:00

Charge:\1,000(+1drink&1food order)

トークショー : 両日共に20:15〜20:45予定

4日・石井哲(wami)×和乃弦
5日・石井哲(wami)×村上賢司監督×和乃弦

◆LIVE:トークショーを挟んで、行います。

4日・19:30〜 【Trio-KEI】<上田圭(vn) 岡崎晶子(vn) 大槌祐紀子(pf) with 和乃弦(g)>

   21:00〜 【soleil】http://www.soleil-records.com/

5日・19:30〜 【Sally】http://blog.goo.ne.jp/u-sa2005/

   21:00〜 【和乃弦Project】http://plaza.rakuten.co.jp/wanogen/
<和乃弦(g) 織原洋子(key) 川本悠自(b) 浜野律哉(per) with 佳代(vo)> / ゲスト有り!

“【工場萌えな日々】DVD収録のあの曲も聴けちゃいます!”

※【工場萌えな日々】写真展は、両日ともspumaさん開店時間〜開催しております。

※お席の方に限りがありますので、予約はお早めに!!
※団体様(4〜5名)でのお申し込みOK!
(それ以上の人数の場合は、下記のアドレスへメールにてご相談下さい)
※両日とも、予約がそれぞれ<50>名を超えた場合は、予約受付を終了させて頂きますのでご了承下さい。

御予約・お問い合わせは⇒wanogen@hotmail.co.jpまで

2007年も工場と共に。

鹿島夕景

■イベント《工場と音楽の夕べ》

昨年末は、工場の映像だけを静かに映し続ける極めて趣味的なDVDを無事に発売出来、とても沢山の方から気持ちの伝わる感想を頂きました。
この工場blogを開設して以降は、少しでも多くの方に工場の魅力を伝えられればとの想いを抱きながら過ごして来ましたので、その1つ1つが本当に嬉しかったです。
心から、ありがとうございました。
そこで、更に多くの方と直接工場の魅力に就いて言葉を交させていただければと、年明け直ぐのこの時期ですが、件のDVDに於いてハイライトシーンに流れる印象深い音楽を創って下さった和乃弦さんと、今度渋谷のお店でささやかなイベントをさせていただく事になりました。
当日まで余り時間がありませんが、日程は明後日からの2日間《2007年1月4日〜5日》。
開催場所は、渋谷の地下にある【supuma】さんと云うお店です。
工場写真の幾つか展示された空間で音楽を聴きながら、豊かな工場の魅力に就いて色々な方と御話させていただければと思っていますので、もし興味を持たれた方が居られましたら是非足を運んでいただけましたら幸いです。
2007年最初の工場イベントはお馴染みの港ではなく喧噪流れる渋谷の街中ですけれど、御時間のある方、当日は工場と共にお待ちしています。

この時を永久に繰り返す。

四日市夜景

■工場と過ごす穏やかな年月

この1年間で10日程しか自宅へ戻れなかった泊まり仕事の合間に慌ただしく観て歩いた工場の姿、そのどれもが今も新鮮に心へ残る。
貸し切りクルーザーで海から眺めた川崎臨海工業地帯、閉鎖前に仲間達と集まって工場夜景を見渡しながら飲み交わした横浜プリンスホテルのスイートルーム、車数台で一気に京浜〜京葉を縦断して過ごした密度の高い一時、夏恒例の製鉄所見学…、雄壮繊細な工場の姿はいつでも其所で待っていてくれた。
そして年末最後となる工場巡りは、クリスマス・イヴを京葉工業地域で、クリスマス当日を川崎臨海工業地帯と群馬の内陸工業地帯で、それぞれ工場好きな知人達と共に徒歩と公共交通機関を使って1日眺める、とても長閑で心温まるものとなる。
今年を振り返れば月に2度程のゆっくりしたペースだった工場と過ごす時間、来年は更に沢山の場所を多くの誰かと過ごせればと静かに心で祈る。
いつまでも工場に就いて言葉を交せる、そんな素晴らしい出会いを信じて。

好きなプラントの在る生活。

工場DVD発売

■工場映像作品集『工場萌えな日々』

以前にテレビ東京系列の深夜番組で紹介いただいた時、工場に関する記述以外は殆どないこのblogを映像化すると云う難しい契約をされたトルネード・フィルムさんの製作により、関東の工業地帯を収めた工場映像集が無事DVDとして発売される事になりました。
タイトルはそのままに、『工場萌えな日々』。
http://www.tanomi.com/shop/dvd/items03664.html
工場の姿をハイビジョン映像で只延々と収録しただけと云う物凄く相手を選ぶ作品になりそうなのですが、日々の暮らしの合間に好きな音楽を聴きながらプラントの姿をのんびり眺めていたいと思われた経験のある方、もし僅かなりと興味を持っていただけましたら何処か心の片隅にでも留めていただけましたら嬉しく思います。

因みに、発売元はエースデュースエンタテインメントさんで、年末の2006年12月22日発売だそうです。
殆どの場面で工場自体の作業音以外は何も聞えてこないストイックな編集をされるとの事、泊まり仕事が長引いている時や天候が不安定な時はのんびりと職場で工場の映像を見詰めて過ごしてみたいと思っていましたので、個人的にも年末が凄く楽しみになりそうです。

■工場映像作品集『工場萌えな日々』
http://www.tanomi.com/shop/dvd/items03664.html

天空の迷路。

■鋼の血管

湧き出るように何層と重なりながら、繊細で複雑な陰影を作るその迷路に気が付いたのは、物心目覚めた子供の頃。
それは、突然現れたかと思うと不思議な角度で急に折れ曲がり、枝分かれし、気侭に踊り泳ぐようにその姿を変える。
壁一面を蔦のように這う姿を目で追っていると、いつかその先の知らない世界へとそっと連れて行ってくれるような気がした。
やがて、街角で、海で、山で、偶然出会うその造形が見せる不思議な情景に心惹かれながら時は過ぎ、今もプラントを眺める時に欠かせない大きな要素となって残る。

工業地帯を歩く時、見上げる視線の先を縦横と折り重なった様々な太さの管(パイプ)が走る。
頭上で、真横で、足下で、内なる力を秘めて連なるその姿を追い進む足取りを、いつも軽快に導いてくれる。
人の背丈程もある直径で構内を威圧する管、細く束になり色を変え離合集散しながら十重二十重と入り組む管、背の高い蒸留塔に絡み付きながら天空を目指す管、整然と並びながら地を這う様に彼方を目指す管、端から水蒸気を高音と共に吹き出す管…、何処からともなく現れては立体に絡み合い、遙か視線の果てまで続いて行く。
時に気体を、時に液体を身に通し、気侭に交わり併走しながら、広大な構内を遠く高く何処までも旅する。
その隙間を目を凝らす先に見えて来る無機質な風景は無限と終りなき世界へ誘うようで、暫く留まって見詰めていると、意識が日常から解離し幻想的な様相を呈して来る。
『あの管は、何処から来て何処へ行くのだろう』
そんな他愛ない気持ちを胸に、涼しい風に押されるようにして今日も工場を彷徨い続ける。

(写真/プラントの合間を走る配管)

秋雨に烟る街。

wami2006-10-04

モノクロームに包まれて

知人から急に誘われて港へと出掛けたその日は、朝から降り続く小雨に烟っていた。
車に乗って少し賑やかに訪れるのは、徒歩や自転車でも何度と通って眺めた馴染みの風景。
前回と異なる顔触れで1ヶ月振りに訪れるコンビナート、低く垂れ込める空を映すかのように灰色へと染まった工場は、普段よりも数段と重量感を増しながら静かに佇んでいる。
ゆっくりと進む車の前を到る所から吹き上がる純白の水蒸気が覆い、金属の塔が立ち並ぶ風景にささやかな彩りと躍動感を与える。
時に車を降りその中をのんびりと傘も差さずに歩を進めると、見上げるプラントがどれも心なしか大きく見える。
季節や時刻の変化が工場の景観に鮮やかな幅を与える様に、天候もまた独得の魅力に溢れた心地良い眺めを産み落とす。
言葉少なくも互いに気持ちが通じる、その次々と工場を見詰めた心弾む一時は、やがて日没を前に静かに終わりを迎え、広大な土地に並び遙か遠くへ白々と霞み消えていくプラントの峰峰をそっと後にした。

(写真/一面に水蒸気漂う街)

漣の残像。

水蒸気に浮かび上がる

■車窓揺蕩う白煙に

ある日、この夏の製鉄所見学会を御一緒した知人から薦められ、急に思い立って長閑な列車での工場散策へと出掛けてみる事に。
指定席の時刻に追われる様に仕事を一段落させ、暫く泊まり込んでいた仕事先を慌ただしく後にし、日付が変わる深夜に大垣行きの列車へ1人乗り込む。
深い闇を煌々と照らしながら夜通し走った列車は夜明けと共に乗り換え駅へと到着、再度2両編成のワンマン列車に揺られてのんびりと目的地へと向かう。
工業地帯に生まれ育った1人の少女が抱く思春期の葛藤とささやかな旅立ちを温かく穏やかに描いた映画『いずれの森か青き海』、この優しい作品の最後に流れる、海沿いを走る列車の車窓に遠く棚引く工場の姿を改めて自らの眼にし、久し振りに大好きな場所へと戻って来た事を実感する。

今回は、渋谷でイベントスペースを営む知人から借りたビデオカメラで、ゆっくりと港を歩く傍らに工業地帯の遠景を気侭に収めて、いつもと少し趣の異なる港巡り。
普段から馴染んでいる京浜工業地帯での自転車や車を利用しての移動とはまた何処か違った、季節の移り変わりを告げる心地良い潮風のような休日が始まる。
大小複雑な配管を抱くプラントが朝日を背にしてシルエットを浮かび上がらせる姿に暫く立ち尽くし、やがて港沿いを対岸に広がる情景へと足は向かって行く。

遠く遙か視線の先へと連なる個性豊かなプラントを目指し暖かな日差しの下で緩やかに歩を進めると、初めて大規模な工業地帯へ訪れた時の気持ちが心の奥から徐々に蘇って来る。
そうして、風に運ばれて来る作動音に包まれながら、一足毎に表情を変えて様々と重なるプラントの造形に目を奪われていると、始まったばかりの休息時間も瞬く間に消え去って行く。
結局、間に一晩だけの帰省を挟んだ列車と徒歩での工場散策は、時間と共に鮮やかに移り変わる色彩を十分に心から堪能し、帰路の途中で寄る製紙工場へと向かう列車に飛び乗って、また近い時期の再会を心へ誓いながら一先ずの区切りを告げた。

(写真/棚引く白煙を照らし夜空へ浮かばせる対岸のプラント)