灯火が消えた跡に。

wami2009-02-25

■製鉄の街

千葉市蘇我駅に降り立つと、誰もが目にするランドマークがある。それは、この街が製鉄の街であると云う事実を圧倒的視覚によって訴えてくるJFEスチール千葉地区の第5高炉。1965年より鉄を産み出し続けたこの巨大建造物も、現在はその役目を全て終え、2004年以降は物言わぬ存在として静かにこの地を見守って来た。周辺の臨海工業地帯を海から眺められる千葉港巡りの遊覧船でも、港内を一周した最後に控えて、真打ちに相応しい風情をいつも漂わせていた。
フクダ電子アリーナを訪れるJEF市原のサポーターを始め、蘇我駅を利用する全ての人にとって馴染み深いこの第5高炉も、遂に姿を消す時が近付いている。スタジアムが建つ以前は3基並んだ雄壮な姿が見られたJFEの高炉も、離れた場所に佇む現役の第6高炉を残し、これで全て撤去される事になる。公園として生まれ変わるこの場所の近くには、原寸大の鉄製ロボット製作で知られる造形作家・倉田光吾郎氏の記念モニュメントが昨年末に完成。デュイスブルグのランドシャフトパークのように市民の憩いの場としてそのまま高炉が保存されていても素晴らしかったかもしれないとの気持ちも残るが、これからは第5高炉に代わり時代を超えてこの街を見守り続けるだろう。

(写真/重機に囲まれて佇む、JFEスチール東日本製鉄所千葉地区の第5高炉)

(写真/GoogleMapより)