旅の終わり。

規模縮小が著しいとの話を頻繁に耳にし

■1人夜歩く

深夜、八幡駅前のホテルを抜け出して、工場の夜景を観る為に事前にチェックをしておいた高台を一路目指す。
昼間とはまた違った顔を期待しながら藪の生い茂る100段以上続く階段を黙々と歩いた先には、思っていた通り、静かに操業を続けるプラントの群れが広がっていた。
幾らか既に灯が消えている場所もあり荘厳と云った程ではなかったが、それでも暫くのんびりと心穏やかにその景色を眺め、その後は時間も忘れ無心にカメラを向けていると、やがて闇が消え空が徐々に白んでくる。
工場見物で最も気に入っている時間帯である夜明けを体験し、満足したまま始発の動く前にその丘の上の公園を辞去する。
ホテルをチェックアウトした後は、四国より暫く続いたプラント巡りからは離れ、少し前にネットで知り合い《工業地帯をモチーフとした自作の打ち込み音楽》を送って聴かせてくれた方と博多駅で嬉しくも初めての顔合わせを果たし、そのまま新幹線で次の仕事先である川崎へと戻る事に。
今回は小倉近辺を殆ど散策出来なかったので、次に北九州工業地帯を訪れる機会があれば、必ず港沿いをもっと楽しんで回ってみようと思う。
予定も決めずに西日本の見知らぬ工場を長閑に見て歩いた(短くも心弾む)プラント巡りはこれで一旦閉幕となったが、今度の休みには誰と何処の工場へ足を伸ばしてみようかと云う想いが既に心の中に幾つも湧き上がっていた。

(写真/規模縮小が著しいとの話を頻繁に耳にした北九州の工場群)