深夜に蠢く鼓動。⑤

wami2005-05-10

■暗闇に漂う光

友人に付き合い所々で観光地へ寄ったりしている間に夜の帳が下りて来て、結局鹿嶋市内で一泊する事に決まる。
ホテルへ連絡して予約を入れた後、ある程度は時間が確保出来たので、先ずは早速目途を付けていた鹿嶋港へと向かう事に。
工場見物の基本に従い、暗く人気のない港の公園に出ると、そこは船が並ぶ対岸に工場の景観が怪しく眼前に浮かび上がる場所。
工場の灯りが奥まで届かず、目を輝かせながら幾ら眺めてもその景色からだけでは全体の規模までは把握出来なかったが、その先に魅力的なプラントが待っているだろう強い予感に導かれ、車で更に遠くへと進む。
港を迂回する様に暫く走ると徐々に街灯も減り、人通りの途絶えた道は闇に覆われてくる。
そのままコンビナートに囲まれていると思しき場所で慎重に車を奥へと向かわせていると、突如と光が溢れる場所が現れ思わず目を見張る。
どうやら街路樹に阻まれ正門以外からは殆ど中の様子を伺う事は出来ないらしいが、それでも、広大な敷地に建つ素晴らしい規模のプラント群を隙間隙間に眺めていると、やはり徐々に気持ちが高まってくる。
その後は、漆黒の闇に静かに湧き上がる工場の姿を遠目に眺めたり、狭い脇道毎に中へ入って状況を把握したりしながらコンビナートを楽しく彷徨いタイムリミット。
廃工場から始まった工場漬けの濃い1日が漸く終了し、長時間運転を務めてくれた友人に礼を言いつつ、鹿島の昼の顔を想像しながらホテルへと急いだ。

【⑥に続く】

(写真/深夜、闇に包まれた鹿島臨海工業地帯)