それでも輝く世界。②

wami2005-05-01

■尚も紡がれる物語

狭い通路に何台ものカメラとその数倍のスタッフが入り乱れて撮影現場は凄い熱気。
その中を幼い頃より何度もTVで見た著名な俳優が独特のポーズで駆け抜けて行く。
そうこうする間に休憩時間となったので、知り合いの脚本家氏に許可を取り、カメラ片手に廃プラントの中へと進む。
錆びた管が束となって蠢く中を鼓動を高鳴らせながら歩いていると、手摺りが捩れ曲がり所々に崩れた跡がある階段を発見。
工場内を俯瞰の角度で眺められる機会は当分来ないだろうと思い、一歩一歩気を付けながら屋上を目指す。
踊り場でも錆び落ちて穴が空きボロボロになった鉄の足場を避けながら、周囲に溢れる鋼鉄の機械に心奪われつつ少しずつ登って行く。
遙か見上げるような煙突、不思議な形状のタンク、血管の様に縦横に伸びるパイプ、複雑に組み合わさった鉄骨、そして魅惑的に佇む様々な塔…何処を向いても目が釘付けとなるような景色が続く。
そうして風に吹かれながら着いたその場所は、夢の跡を一望出来る眩い空間だった。
【③に続く】

(写真/3年前にその役目を終えた工場)