地底のピクニック【番外編:巨大施設見学④】

作業用エレベーターで地下へ

■賑やかに続く道

この夏、巨大施設の一般公開として1番の盛り上りを見せたのは、間違いなく《東京ジオサイトプロジェクト4》。
これは、日比谷から虎ノ門へと続く巨大な地下インフラ空間として建設されていた共同溝を舞台に、毎回異なった視点から様々な可能性を提示してきた画期的な試みである《東京ジオサイトプロジェクト》の最終章として開催された、巨大施設に惹かれる全ての者にとって素晴らしく魅力溢れるお祭。
過去、巨大なトンネル掘削機『シールドマシン』を公開したり、様々なアートと融合したり、開催毎に大きな話題を提供してくれたこのイベントも、とうとう4度目となる今回で一旦幕引き。
初日は抽選で選ばれた一部の参加者だけが体験出来る不思議な地下の音楽祭《地底音楽堂》が、2日目と3日目は完成したばかりの共同溝を一般市民に公開し日比谷から桜田門を経由して虎ノ門までの1.5kmを大勢で賑やかに歩いて渡ろうと云う企画《トンネルウォーク》が催された。
特に、誰もが体験可能な《トンネルウォーク》は、連日に渡り事前の予想を大きく上回る参加者が集まった為、共同溝への入り口となる日比谷公園前には3時間以上の待ちとなる長蛇の列が出来る大盛況。
入り口で身分証の提示と引き換えにヘルメットを受け取り作業用エレベーターで下った先には大きなトンネルが口を開けて待っていて、早速各々のペースで参加者は移動開始。
場所毎に変わる壁の質感や地下に延びる空間の壮大な力強さを肌で実感しながら歩いて行くと、所々に設置された空間では共同溝建設やこの《ジオサイトプロジェクト》の歴史を記したパネルが展示され、学芸員方により丁寧な解説が行なわれていた。
他にも、特撮系イラストレーターの第一人者である開田裕治さんの迫力在る作品が並べられていたりした不思議な地下空間を2時間掛けて歩き、虎ノ門到着と共に心躍るイベントは静かに終了。
最後に共同溝建設に携わった多くの関係者へ感謝と労いの言葉を各々書き添え、延べ3000人近くが楽しんだイベントと別れを惜しむように再度ゆっくりとエレベーターで運ばれながらまだ陽の高い街中へと戻った。

(写真/曲がりながら続く日比谷共同溝)