空に聳える未来【番外編:巨大施設見学③】

地球深部探査船『ちきゅう』

■蒼い地球へ

天候に恵まれ見学日和となった午後に横須賀中央駅で案内用チラシを受け取り港を目指すと、見覚えのある高い櫓が見えて来る。
この地球深部探査船『ちきゅう』は、海洋石油掘削で実績のあるライザー掘削システムを使い水深2,500m(目標は4000m)の深海域で海底下7,000mを掘り抜き、過去に誰も到達しえなかったマントルさえも採取しようと云う目論みで建造された船で、茨城で見た日立セメントのプラントを彷彿とさせるデリックと呼ばれるこの青色の掘削櫓から必要機材を釣り下げて掘削採取作業すると言う。
足を踏み入れた210m×38mの船内は、四隅に数多のクレーンを配置し、掘削装置や各種パイプ、噴出防止装置等が所狭しと犇めき合う密度の高い魅力溢れる空間で、各所毎に解説担当のスタッフから丁寧な説明を伺いながらゆっくりと観て歩く。
研究施設や船橋を順番に通り抜けてから見える間近に仰ぐデリックは本当に壮大で、ここから将来海底へと延ばされて行くライザーパイプの山を観ると、今後の成果が本当に楽しみとなる。
平日故に幼い子供連れの家族と年配の方が多かったが(それ以外は同業の専門家と思しき人達が殆ど)その好奇心に溢れた笑顔を横に観ていると、子供達にはこう云った実感を伴って未来を予感させられる素晴らしい機会をもっと身近に設けて欲しいと思った。

(写真/『ちきゅう』に搭載された噴出防止装置の一部)